

有名百貨店が次々と閉店し「Forever 21」が2度目の破産申請を行うなど、米国ファッション業界が苦境を強いられる中、ユニクロをはじめアメリカ国外のアパレルブランドが近年アメリカ市場に活路を見出しています。ユニクロの北米事業が2023年に初めて黒字化を達成し、いまや北米事業がユニクロにとって重要な原動力となっていることは、日本の各メディアでも報じられている通りです。
現在全米で76店舗を展開するユニクロは、2006年ソーホーにグローバル旗艦店をオープンし来年で20周年を迎えます。この節目の年に、ニューヨーク市内に4店舗を追加し、シカゴ、サンフランシスコ、ボストン、シアトル、メリーランド、ワシントンD.C.といったアメリカの主要都市を中心に11店舗オープン予定です。このうち、シカゴとサンフランシスコの店舗は旗艦店としての位置づけとなり、ニューヨーク以外では初の旗艦店オープンとなります。

米系アパレルブランドが苦戦する中、ユニクロを含め複数の海外ブランドがアメリカを成長市場と捉えているようです。アイルランド発のPRIMARK(プライマーク)、日本でも人気のスペインブランドMANGO(マンゴ)、カナダのARITZIA(アリッツィア)は近年アメリカでの認知度を拡大しており、今後は全米を視野に新店舗を開店し、これまで進出していなかった地域にも拡大する計画です。

海外ブランドがアメリカ市場に注目する理由として、専門家は消費者支出の回復力の強さと、インスタグラムやTikTokを通じ少ない店舗数でもブランド認知度を拡大させ、市場の違いに影響されることなくグローバルトレンドとしてバズることが可能になったことが、参入障壁を下げていると分析しています。ユニクロのショルダーバッグが海外でバズった話題は記憶に新しいです。
アメリカで拡大する上記のファッションブランドは、いずれも全米の店舗数がそれぞれ100店舗未満と現時点ではアメリカで誰もが知るブランドと言えるほどの存在感はありません。CNBCによると、近年のユニクロのアメリカでの躍進は、ミニマルで機能性の高い素材とデザイン、手頃な価格、豊富なカラー展開とローカルアーティストとのコラボや一部商品のパーソナライズなどが、競合との差別化になったと分析しています。一方で、スペインのZARA、スウェーデンのH&MやアメリカのGAPなど直接的なライバルと比較しEコマースで後れを取っていると指摘しています。
ユニクロは2027年までに200店舗を達成すると発表しています。
情報元
Uniqlo plots 2026 expansion —here's where(Chain store age)
Why foreign retailers like Primark and Mango are expanding across the U.S.(CNBC)
How Uniqlo’s functional clothing has won over the U.S.(CNBC)
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