アメリカ料理の定番であるBBQにアジアンテイストを加えて提供する高級路線のフルサービスレストラン、KYU Restaurants(キューレストラン)はニューヨーク、マイアミ、ラスベガス、メキシコに展開するレストランチェーンです。これまでディナー帯の午後5時からの営業でしたが、ニューヨークの既存店にKYU Grab and Go(キュー・グラブ・アンド・ゴー)としてテイクアウト専門窓口の設置を開始しました。これまで営業していなかった時間帯である午前11時30分から午後3時30分のあいだに店外飲食限定の専用窓口を設けます。
ランチ帯に通常営業を開始するのではなく、テイクアウト専門として営業する背景について、全米レストラン協会(NRA)の最近の調査が物語っています。近年アメリカでは店外飲食・テイクアウトの需要が伸びており、特にZ世代とミレニアル世代では51%がテイクアウトやドライブスルーでの食事の注文がライフスタイルに不可欠であると回答しています。さらに41%の消費者がデリバリーに大きく依存しています。
こうした消費者の需要に対応する潮流は既にレストラン業界にありますが、他のチェーン店が店外に独立したテイクアウト特化型店舗を構える中、キューレストランのように既存店舗でテイクアウト専門窓口を設ける事例はユニークです。このコンセプトを主導するのは、キューのグローバル・エグゼクティブシェフとして、全店舗のメニュー開発と料理監督を務める、ラヒーム・シーリー氏です。彼は今回のテイクアウト専門窓口のコンセプトについて「レストランの認知度を高める良い機会だと考えています」と話しています。当初テイクアウトは実験的に開始しましたが需要の高さが分かり、そこからテイクアウトに求められているメニューの模索が始まったといいます。
現在キューレストランがテイクアウトメニューとして提供しているのは、スパイシーチキンサンドイッチ、ショートリブサンドイッチ、韓国風フライドチキンボックスに加え、サイドメニューとして和風スイートポテトチップス、デザートはシナモンロールをはじめとした3種類、そしてArtof Teaのアイスティー、BigApple Roastersのコーヒーです。キューレストランの定番メニュー、韓国風フライドチキンやスモークショートリブをいかに持ち運びやすくランチに最適な形で提供するかを目指したと言います。また、KFCやPopeyes(ポパイズ)といったチキンサンドイッチで実績を持つブランドを参考にしながら、同店の通常メニューの品質をたもったままでより多くの人にキューの味を届ける事を目標にいています。
キューレストランでの店内飲食は食事と雰囲気を楽しむための人々が、ディナーに数時間けることもあります。一方で、同店のテイクアウトメニューは約15 分以内に準備できるように設計されています。特にニューヨークのようなハイペースで忙しい街にテイクアウトコンセプトはマッチしており、今後も需要を鑑みたうえで他の都市での展開を検討していくという事です。
情報元
An Upscale Chain Embraces the Off-Premises Boom With New Grab and Go Concept(FSR Magazine)