

アメリカでは、切り花はスーパーマーケットなどでも手軽に買える一方で、日本で見かけるようなチェーン型の花屋はあまり多くありません。ニューヨークでは、バレンタインや母の日など需要が高まる時期に路上などでポップアップ的に販売する光景が見られます。
1978年に創業したロサンゼルス発のFrench Florist(フレンチ・フローリスト)は、花屋のフランチャイズ展開を進めています。2024年にフランチャイズ展開を本格化し、現在20店舗のうち17店舗がFC加盟店舗です。2026年末までに30店舗の展開を目指しており、そのほとんどがFC加盟店舗になる予定です。
フレンチ・フローリストのマイケル・ジェイコブソンCEOは、2019年に当時1店舗のみで経営不振だった同ブランドを叔父から買収しました。花卉業界におけるサプライチェーンの不備や時代遅れの技術といった構造的な問題に注目し、業績回復のチャンスを見出したのです。
ジェイコブソンCEOは、テクノロジー導入とマーケティング改善、サプライチェーンから卸売業者や仲介業者をなくすことで、業績を改善し、1店舗で年間約1,000万ドルの売上を上げるまでに成長させました。
その後も同社は、特にテクノロジーへの投資を続けてきました。紙で管理していた注文情報やアレンジメントのレシピ、カードメッセージ、商品画像などを、同社専用に開発したiPadアプリに一元化し、業務エラーや印刷コストを削減しました。
また、在庫の寿命が短く、繁閑差の大きい花卉業界特有の在庫予測にもシステムを活用しています。商品レシピと過去の注文データを基に、店舗ごとの需要傾向をAIに学習させ、店舗ごとに異なる在庫予測システムを導入しました。
さらには、加盟店向けの教育・研修プラットフォーム「フレンチ・フローリスト・ユニバーシティ」を開発。FCオーナーやフラワーデザイナー向けに、継続的なオンライン研修を提供しています。
テクノロジーと業務の仕組み化により、属人的になりがちな花屋を再現性のあるフランチャイズモデルにしようとしています。
フレンチ・フローリストでは注文の95%がオンラインですが、ブティック型の店舗を増やす理由は何でしょうか。
アメリカで古くから全米展開する花のEコーマースブランド「1-800-Flowers.com」では、オンラインで受けた注文を地域の提携花屋などに振り分け、各花屋がフラワーアレンジメントと配送を担当する仕組みです。このようなワイヤーサービス型のビジネスについてジェイコブソンCEOは、中間マージンの高さを指摘しています。
一方、フレンチ・フローリストでは、オンライン注文を最寄りの自社ブランド店舗に振り分け、各店舗のフラワーデザイナーがアレンジメントを制作して配送します。
地域で制作・配送を担う拠点をFC店舗として展開しながら、本部がオンライン集客やテクノロジー、仕入れなどを共通化することで、中間マージンを抑え、加盟店の効率化や収益性向上を図るのが同社のフランチャイズモデルの特徴です。
スターバックスが、細分化されていたコーヒー業界で全国ブランドを確立したように、フレンチ・フローリストも花卉業界で全米規模の統一ブランドの構築を目指しています。
同社のフランチャイズ開示文書によると、1店舗から加盟可能で、初期投資は$242,675から$398,675です。
日本で花のチェーン店といえば、青山フラワーマーケットが思い浮かびます。徹底したブランドイメージと、統一されたデザインのフラワーブーケが店頭に並ぶ様子は印象的で、買う予定が無くても思わず立ち止まってしまいます。完成したブーケを選べる仕組みは、花選びに迷う消費者にとっても利用しやすいビジネスモデルですが、同ブランドではFC方式の店舗拡大は行っていないようです。
その理由は一概には言えませんが、生花特有のロス率の高さや、アレンジメントや仕入れなどにおける属人性が、花屋をFC化する際の障壁のひとつと考えられます。
日本では既存の花屋チェーンや独立系花屋が人々の生活の身近にある一方、フレンチ・フローリストはフランチャイズ方式で地域ごとに拠点を増やし、全米規模の統一ブランドを築こうとしています。属人性が高く、商品ロスも無視できない業態をどこまでフランチャイズ化できるのか、今後の展開が注目されます。
情報元:
French Florist Franchise
AI-Powered & Personalized Florist Ecommerce Solution for a 45-Year-Old Brand(intuz)
Takinga Flower Shop from $600k to $9 Million(Acquiring Minds)
1-800Flowers.com
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米国進出、日米FCビジネスにご興味がある方は、
I. Fujita International, Inc( ichiro@ifujita.com )までお問合せ下さい。