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買収撤回受け止め 北米セブンイレブンの中期経営戦略

August 25, 2025

7月16日、コンビニエンスストア大手のサークルKの親会社アリマンタシォン・クシュタール社(以下「ACT社」)が7兆円規模の買収の提案を撤回すると発表しました。これに対しセブン&アイ・ホールディングスは「ACT社が当社との協議を一方的に終了し、買収提案を撤回する決定を下したことを確認いたしました。当社としては、ACT社の決定については不本意ではあり、ACT社が発表したリリース上の数多くの誤った記述について賛同しかねるものの想定の範囲内と受け止めています」とコメントしています。

レストラン併設店を増設

この買収撤回から1カ月も経たない8月6日、セブン&アイHDは2030年に向けた中期経営戦略を発表しました。その中で北米コンビニエンスストア事業7-Eleven, Inc.(以下SEI)については、2030年までに新たに1,100店のレストラン併設店を設置する計画を発表しました。 これは現在のセブンイレブンを他のコンビニエンスストアからさらに大きく差別化する為に、フレッシュフードの分野で競争優位性を強化する目標を掲げ、それに対応する設備投資の実施案を表明したものです。

‍フレッシュフードとPB商品に注力

近年、日本を訪れる外国人旅行者にとって「コンビニ」は欠かせない旅の目的地になっており、アメリカのセブンイレブンが「日本風」に生まれ変わるかもしれないことが、昨年Business Insiderの記者の期待と共に同メディアに投稿されました。

それはセブン&アイHDがSEIのフードと飲料の先進化を発表したことが背景にあります。このフードと飲料カテゴリ―の改善について、セブン&アイHDが7月に行った2025年度第一四半期の決算報告で、PB商品の販売と共にフードと飲料の先進化が順調に進み、利益増を確認していると発表しています。

‍大型店舗を増設

さらにSEIは、2030年までに1300店の大型店舗を追加すると発表しました。セブン&アイHD新CEOのスティーブン・ヘイズ・デイカス氏は「北米では近年、競合他社が当社よりも早いペースで店舗網を拡大しています」と前置きし、「アメリカには多くの未開拓市場があるため、チームとインフラを整備することで、今後更に積極的な展開を加速させることが出来ると考えています」と述べています。

‍デリバリーサービスが好調

同社のデジタルデリバリープラットフォーム「7NOW」については、2030年までに年間200店舗のペースで拡大し、北米で人口カバー率50%超を達成する方針であることも中期経営戦略に盛り込まれています。「7NOW」は年度末の7,500店舗に向けて着々と展開が進められているとともに、売上高も順調に推移しており、2025年には10憶ドルの目標を達成する見込みです。

デイカス氏は「7NOWは深く愛顧いただいています。お客様に焼き立てのピザ、ドリンクなど、お望みのものを30分以内にお届けしています」とその手応えを話し、更に現在このデジタルデリバリープラットフォームにマーケットプレイス機能の追加をテスト中であることを発表し、また、今後は「7NOW」に無料配達を含むサブスクリプションサービス「7NOWゴールドパス」も検討しているということです。「私たちの店舗網を活用し、次世代のコンビニエンスを再定義する可能性を秘めています。競合他社にはこれに匹敵するサービスはありません」とデイカス氏は続けました。

この「7NOW」事業は、SEIで開発されたもので、現在日本では導入の初期段階ながらも他社との差別化を図るうえで期待できるサービスであるとデイカス氏は述べました。また、「7NOW」はグローバルで成功した事例を日本事業に持ち込んだ好例と評価できるでしょう。

情報元

7-Eleven plans to open 1,100 new restaurants by 2030(Restaurant Business Online)

セブン&アイ・ホールディングス

アメリカのセブン-イレブンがもうすぐ「日本風」に生まれ変わる?(Business Insider)

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