

ニューヨークのロウアー・イースト・サイドRivington Ave.とAllen St.が交差する角に長蛇の列が出来ています。列の先頭を辿ると、そこにはフォトブースがあります。その名もOld Friend Photobooth(オールド・フレンド・フォトブース)です。
アメリカのフォトブースは1925年にニューヨークで登場し、商業サービスとして広く普及し、当時も多くの人が列を作り人気を集めたとされています。100年前の技術で稼働するアナログ式のフォトブースは現在、わずか200台ほどしか残っていないといいます。そのうちの1台がこの場所に設置されており、100年の時を越えてブームが再来しているようです。

スマホでいくらでも写真が撮れるご時世に、撮り直しがきかないワンショットを、この特別なレトロマシンで撮影できることに人々は価値を感じているようです。
このようなレトロマシンとは言わずとも、アメリカではフォトブースがバーやナイトクラブなどに設置されていることは珍しくありません。メインコンテンツではなく、その場のノリや空気を記念に残す、滞在体験の一部として設置されているケースが多いようです。
日本では、多くの人にとって何か(友達と会ったり、推し活をしたり)目的を果たした後の一連の流れとして、プリクラを撮りに行くこと自体が目的化しています。そして、プリクラの楽しみの一つは写真を加工することにあります。一方で、ニューヨークで見られるフォトブースでの撮影体験は、その場の滞在の流れの中で利用するものであり、被写体が切れていたりブレたりしていても問題無いのです。
最近では、特にアパレル系を中心に店舗内にフォトブースを設置し、空間演出や来店動機付けの要素としても注目されています。また、来店客がフォトブースで楽しそうにポーズを決めて撮影する様子は、店の高揚感を刺激しているようにも見えます。更に、フォトブース設置には、購入したばかりの服やショッパーが映る画像がSNSに投稿される効果を狙う背景があるのかもしれません。

フォトブース以外にも、店舗演出としてニューヨークでよく見かけるのは、店内のライブ感を演出するDJ設置です。デパートや飲食店のBGMがライブDJによるものだと、店内にライブ感が追加されます。

ネットショッピングが当たり前の昨今、実店舗に求められる役割は変わってきています。価格や利便性ではなく、「その場に行く価値」をどう作るかが問われていますが、その結果として、フォトブースや音楽演出といった体験要素が重要な集客装置となっていると考えられます。
フォトブースやライブDJの設置は、省スペースで実現可能です。ニューヨークにおけるこうした動きは、日本の小売・飲食業にとっても示唆に富む動きと言えます。商品力に加えて、来店時の体験そのものを設計することが、今後の差別化の鍵となる可能性が高いです。
参考資料
The photo booth is turning 100 — meet the people keeping it alive(NBC News)
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