

ニューヨーク発のベーグル文化が、近年は全米でビジネスモデルとして再評価されています。19世紀後半にポーランド移民によりニューヨークに持ち込まれたベーグルは、この街を象徴する食文化として定着してきました。
現在の全米的なベーグルトレンドの背景には、コロナ禍によりニューヨークから郊外へ移住した人々が、日常的に食していたベーグルの需要を各地に広げたことにあると言われています。
また、低コストで始められ、テイクアウトやデリバリーとの相性のよい業態であることから、様々なベーグルブランドがコロナ禍をきっかけに登場しました。
こうした多くのブランドが、その後の成長戦略としてフランチャイズ展開を選択しています。新興ブランドのみならず、1972年創業のH&H Bagelsがフランチャイズを開始し、Barry Bagelも新たな展開に力を入れています。
この動きに投資家たちも注目し始めています。
先日ブルームバーグは、投資会社Tiger Global(タイガーグローバル)が2020年創業のPopUp Bagels(ポップアップ・ベーグルズ)に、企業評価額として3億ドルを出資したと報じました。
ポップアップ・ベーグルズは2025年7月時点で300店舗の新規出店契約を締結しており、現在約30店舗を展開しています。2027年末までに100店舗への拡大を計画しています。
ポップアップ・ベーグルズの店舗はシンプルです。一般的なベーグル店のように、商品をショーケースなどに陳列するのではなく、ベーグル、そしてベーグルに塗るスプレッドを店内にディスプレイしていません。スプレッドはカップに入れた状態で販売するなど、削ぎ落されたオペレーションです。

このブランドがフランチャイズとして評価される理由は、シンプルなオペレーションと高い収益性にあります。ベーグルは3個セットや1ダース単位で販売されるため、客単価は24ドル以上と高水準を維持しています。また、SKU(取り扱い商品数)は約55点に絞られています。新規出店時に必要な従業員は10〜15人程度と比較的少なく、店舗面積は約27〜33坪とコンパクトです。
こうした「高単価・少人数・小型店舗」の構造が、投資家や加盟店を惹きつけています。
ニューヨークのベーグル店を複数見て回ると、スプレッドの見せ方は大きく三つに分かれます。ジェラート店のように美しくディスプレイし選ぶ楽しさを演出する店、最低限の陳列にとどめる店、そして商品をあえて並べずオペレーション効率を重視するポップアップ・ベーグルズのような店です。
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ニューヨークは文字通り、ベーグル店だらけです。特にマンハッタンの主要駅ペンステーションに程近い7アベニューと34・35ストリートでは、3タイプ全てのブランドを見ることができます。
ポップアップ・ベーグルズのようにシンプルなブランドがApollo Bagelsです。このブランドもまさしくコロナ禍にポップアップ店としてスタートし、8店舗を展開していますが、現時点ではフランチャイズ開発はしていません。サワードー・ベーグルが特徴です。

2018年の創業後、最近フランチャイズを開始したことで店舗数を拡大しているLiberty bagelsはベーグルもスプレッドも種類が豊富で、クリームチーズの代替として豆腐を使用したスプレッドも提供しています。ディスプレイにもこだわりSNS映えを狙っています。

前述のH&H Bagelsはその中間で、サブウェイなどのサンドイッチ店のように最低限のディスプレイに留めています。

番外編のBest Bagel & Coffeeもこのエリアの人気店です。ベーグルが主力のデリといったポジションで、オムレツやサラダなどのメニューも揃え、モーニング、ランチ需要を満たしています。複数店舗展開はしていません。

日本でも最近ベーグルブームが再燃していますが、ベーグルを主力とする店は依然として限定的です。ベーグル&ベーグルをはじめ、ニューヨークのベーグル文化に着想を得たブランドが知られており、日本独自のアレンジを加えながら展開されています。近年では、ひよこ豆のペーストであるフムスをスプレッドに取り入れるなど、本場とは異なるヘルシー志向の動きや、てりやきチキンやパテを挟んだ独自メニューなどが見られます。
一方でアメリカでは、ベーグルはすでに「再現性のあるビジネスモデル」として確立されつつあり、シンプルな商品構成と効率的なオペレーションにより、フランチャイズ展開が可能な業態へと進化している点が注目すべきポイントです。
日本市場においては、依然として特定ブランドの存在感が大きく、ビジネスモデルとしての標準化や多ブランド化は進んでいません。今後は、アメリカのようなオペレーションの簡素化や、韓国系を含む海外ブランドの導入などを通じて、ビジネスモデルとしてベーグルが浸透していくかどうかが鍵となりそうです。
情報元
Bagels Are Trending. Meet the Franchisors and Investors Capitalizing on the Breakfast Staple. (Franchise Times)
Tiger Global Backs PopUp Bagels at $300M Valuation(QSR Magazine)
Bagel & Bagel
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